保留地とは

保留地とは

土地区画整理事業において費用を捻出する等の目的のために、施行区域内の一部の宅地を事業施行者が取得し、販売することができる土地を「保留地」という。(土地区画整理法第96条)


少し難しいですね。
まずは、保留地を生み出す「区画整理」から説明しましょう。

区画整理とは

古くからの市街地は道路が狭く複雑に入り組んでいます。また、田んぼや畑など、宅地にするには不便なところの区画を整理し、道路を拡幅し、土地の形をきれいに整備し、整然とした新たな市街地を作る事業を区画整理事業と言います。

 

区画整理事業

 

上の図のように、区画整理をすると、その土地の権利者は減歩と言って、自分の土地の一部を提供しなくてはいけません。
その提供された土地が、公共用地(道路、公園等)と売却する土地になり、その売却した土地の代金が事業資金の一部となります。
その売却される土地が「保留地」なのです。

「区画整理事業地」 「保留地」の主な特徴

  • 街並みが整備され曲がりくねった道路やすれ違いができなかった道路が、安全で快適な道路に生まれ変わります。
  • 子供たちの遊び場や憩いの場として公園が確保されます。
  • 地区内のすべての宅地が道路(6m道路:例外はあります)に面し、形の整った利用しやすいものとなり、境界も明確になります。
  • 上下水道やガスなどの供給処理施設を一体的に整備することができます。
  • 公共施設が整備されます。

以上のことから土地の資産価値が上がり、街並みが完成すれば「保留地」の将来価値も期待が持てます。

 

それでは、「保留地」と一般の宅地との違いは何でしょうか?

「保留地」と一般宅地の違い

  • 保留地は一般の宅地と違い、不動産会社を介さず施行者(事業者)が直接販売をする為、仲介手数料がかかりません。(仲介会社が入り、仲介手数料がかかるケースもたまにあります)
  • 通常、宅地の売買では、契約・決済後に所有権移転登記を行うことが出来ますが、保留地は、区画整理事業が完了した段階で登記簿が作成され、事業施行者名義で初めて保留地の保存登記が行われます。その後、保留地取得者に所有権移転登記を行います。つまり、事業が完了するまでは、普通に土地の使用は出来ますが、登記簿はありません。

「保留地」に登記簿がない?困るのでは?

事業完了まで登記簿がないので、所有権の移転登記が出来ず、保留地(宅地)に抵当権の設定が出来ません。
もちろん、区画整理区域内の保留地の権利は確保されているので、住宅ローンが受けられないということではありません。
ただし、金融機関によっては扱っていないところもあるので、金融機関が限られる場合があります。

登記簿がないという事は、もし売却しないといけなくなった場合は売ることが出来ないの?

原則としては、事業が完了して所有権移転登記が完了するまでは土地の譲渡は出来ません。
しかしながら、個々さまざまな事情もあることですから、ほとんどの場合、施行者の承認を受ければ譲渡することが出来ます。

 

まとめ

保留地購入のメリット

  • 原則仲介手数料が、かからない。
  • 保留地に面する道路は6m道路(例外有り)であり、インフラ整備も終了しており、大規模分譲地のような街並み、景観のため将来の資産価値は高いと言えます。

保留地購入のデメリット

  • 区画整理事業の終了まで所有権移転登記は出来ません。
  • 金融機関によっては、住宅ローンの設定ができない場合があります。
    (通常、施行者が紹介できる金融機関が用意されています)